ヘリコプターのローターは、固定翼機の翼、プロペラ、エルロン、エレベータの働きを一つで行っています。ローターがヘリコプタを技術的に成立させる要です。このようなローターの働きがどのようなメカニズムで実現されているのか理解しましょう。
ローターヘッドの構造
図はヘリコプターのローターヘッドの典型的な構成です。各ブレードは、フラッピングヒンジ、フェザリングヒンジ、リードラグヒンジの3つのヒンジを介してマスト(ローター回転軸)に連結されています。これらのヒンジを持ってブレードを支えている部分をハブと言います。
フラッピングヒンジはブレードが上下にはばたく(フラッピング)運動を許し、フェザリングヒンジは、ブレードのピッチ(フェザー)運動の回転中心となり、リードラグヒンジはブレードが回転面内で前後(リード・ラグ)運動することを許します。ハブの構成は下図のようになっています。
フェザリング軸周りにはピッチホーンが、リードラグヒンジ周りにはリードラグダンパーが取り付いています。
ローターはヘリコプターの飛行と操縦に重要な、以下の三つの働きをします。
①
推力を発生して機体重量を支える。またその大きさを変化して上下運動を可能にする。
②
ローターを前傾させて機体抵抗に抗する推進力を発生する。また、前後に傾けて、ピッチングモーメントを発生し機体の前・後の姿勢を変える。
③
ローターを左右に傾けて横進力を発生させる。また。ローリングモーメントを発生し機体の左・右の傾きを変える。
各ブレードのピッチホーンはピッチリンクを介して、ローター操縦機構であるスウオッシュプレートに接続されています。
スウオッシュプレートは上下2枚の円盤で構成され、上側はローターと一緒に回転し、下側は回転しません。これらは、球面ベアリングで支えられたジンバル機構で、マスト周りのどの方向にも傾くことができます。更に、球面ベアリングはマストに対して、上下できる構造をしています。下側スウオッシュプレートには油圧アクチュエータが連結され、操縦桿の操作で上下方向の移動と前後および左右へ傾くことができます。
上下運動によってブレードは回転位置によらずにピッチ角が増減します。これをコレクティブ・ピッチと言います。”コレクティブ”とは”一斉に”と言う意味です。
スウオッシュプレートの前後、または左右の傾きによってブレードのピッチは一回転に一回の割合でピッチが正弦波状に変化します。これをサイクリック・ピッチと言います。”サイクリック”とは”定期的に”と言う意味です。
次にこれらのピッチ変化によるローターの挙動を見てみましょう。
コレクティブ・ピッチを与えるとブレードは一斉に迎角が増えるので、推力が増えて遠心力と釣り合うまで、フラッピングヒンジを中心にして翼端が持ち上がります。この運動をフラッピングと言います。ブレードの回転軌跡は横から見ると丁度漏斗型(コーン)形状に見えます。それでこのフラッピング運動をコーニングと言います。ブレード先端が作る回転面はロータマストに垂直です。
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