空中を飛行するヘリコプターは大気条件(密度、温度)によって性能・特性が変化します。従ってその性能・特性を理解し評価するには、大気についての知識が必要です。国際的な基準である標準大気について理解を深めましょう。
気体である空気の密度は温度や圧力で変化します。高温では空気の分子運動が活発で、単位体積あたりの分子数が減って密度が下がります。また、高空より低空の方が圧力は高く、圧縮されて密度も大きくなります。
標準大気の式
これは海面高度で温度15℃(絶対温度288.15°C)、一気圧(1,013.25hP=10,332Kgf/m2)として、高度による温度変化の実測値(1,000mにつき6.5℃の低下)を基に、気体としての大気の状態方程式(理想気体を想定して温度、圧力、密度の間になりたつ関係式。P=ρRT)を用いて導き出された下記の温度、圧力、密度式です。Rは気体定数で287.04m2/sec2です。
T=273.15+t =288.15-0.0065h °C
P=10,332(T/288.15)5.256 = 10,332(1-0.0000225577h)5.256 Kgf/m2
ρ=P/287.04T=0.12492(T/288.15)4.256
Kgf・sec2/m4
ここでhはmで表した高度、tとTは大気温度と絶対温度、Pは大気圧力、ρは密度です。上式で任意の高度hにおける標準日の大気温度と圧力、密度が求められます[1]。
海面高度における標準大気の特性(基準値)
h=0とすると基準値である海面上の大気特性が求まります。それぞれt0、T0、P0、ρ0とすると、
T0
= 288.15 °C
P0
= 10,332 Kgf/m2
ρ0 = 0.12492 Kgf・sec2/m4
エンジンの最大出力等の性能値は、この条件で表現するのが普通です。
温度比、圧力比、密度比
任意の高度での温度、圧力、密度を基準値との比で表わしたものを、温度比、圧力比、密度比と言い、それぞれθ、δ、σと記します。標準大気では次のようになります。
θ = T/T0 = 1-2.2558×10-5h
δ = P/P0 =θ5.256
σ =ρ/ρ0 = (P/P0)(T0/T)
=θ4.256
標準大気の高度による特性変化
下の図は上の式に従って標準大気の温度、圧力、密度の高度による変化を図表化したものです。
[1] 飛行試験、風洞試験等では試験時の温度と圧力を計測し、状態方程式ρ=P/8.314472Tで密度を求めます。
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